雫井脩介「犯人に告ぐ」

2007/10/20 8:29am

雫井脩介とは実家に帰省したときに買った「火の粉」以来の付き合い。それから「栄光一途」「虚貌」と、文庫化しているものを順に読んできたが相変わらずの高いリーダビリティを保っている。

警察側がテレビ番組を利用して犯人を追い詰める。

筋書きだけでワクワクする。想像するのは、エンターテインメント性たっぷりの二転三転する筋書きだ。しかし、中心はあくまで人間ドラマ。犯人に取り憑かれた警視の執念が、合間合間、隙間隙間に見え隠れする。

テレビが活躍する犯罪モノとしては天藤真「大誘拐」や都井邦彦「遊びの時間は終わらない」(北村薫編「謎のギャラリー―謎の部屋」収蔵)が個人的には傑作として思い浮かぶのだが、それらのエンターテインメント性を追い求めた作品とも一味違う。渋い。

物足りない感もあるにはある。余談だが、映画で主演の豊川悦司はイメージにぴったり……、というか文庫版の帯に載ってるから、どうじてもキャラクター像が固定されちゃうよね。

あと、余談ついでに、北村薫編「謎のギャラリー―謎の部屋」ではジェラルド・カーシュ「豚の島の女王」も傑作です。残酷で美しい逸品。Amazon で調べてみたら「豚の島の女王」は「壜の中の手記」に収録されてるのか。これは買うしか。

犯人に告ぐ〈上〉 (双葉文庫)